千葉県富津市にあるガラス工房
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円形切子碗

切子の原点。古代から人々を魅了する輝き
 

アトリエさんかくと水の円形切子碗

当工房では宙吹きで制作された器にカット(切子)による装飾を施した「円形切子碗」を制作しています。

重要文化財の白瑠璃碗[はくるりのわん/正倉院宝物殿(奈良)]に代表されるこのデザイン(様式)は「円形切子碗」と呼ばれ、3 世紀から7 世紀に栄えたササン朝ペルシア辺りがルーツと考えられています。一点ずつ宙吹きした器(ガラス素地)に一つずつカット(切子)を手作業で施しています。型吹きの量産品と違い、形は一つとして全く同じではなく、一点ものになります。また切子による装飾はエッジや研磨面のシャープさが特徴です。万華鏡のように反対側のカットを映し出し、宝石のように輝きます。

古代では、一つ制作するのに1ヶ月以上を要したとも言われ、高貴な人や位の高い人々が使用していたと考えられている器、切子の原点とも言える円形切子碗。人の中に変わらずある美意識や、悠久の時間といったものを、シンプルだけれど奥深いこの意匠に込めたいと思いました。

*2018年5月29日 「NHK BSプレミアム イッピン」で制作の様子が放映されました。

 

お届けまで

年間で制作できる数量に限りがあり、ショップ含め受注制作(予約注文いただく形)になります。お届けまでは、ご予約状況によりますが最短で2〜3ヶ月、長い場合半年程度を目安にみてください。2021年は15点程度を制作予定です(一部は富津市ふるさと納税返礼品となります→ふるさとチョイス)。 ​ご注文、ご予約はお問い合わせ、またはショップから御願いいたします。 *ガラス内部に脈理(筋)や小さな気泡が入っている場合があります。  古(いにしえ)の作品をイメージし、あえて残しました。 *耐熱性ではありません。 *機械生産と違い、切子による円形(亀甲もしくは六角形)の文様は、  一つ一つが全く同じではありません。味わい深い手しごとの証です。 *美術館に陳列されても見劣りしないような品質を目指し仕上げています


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<工程について>

ガラス素地(器)を吹きガラスの工房に特別に作ってもらっています。また一つ仕上がるまでに、つきっきりで作業し約1週間を要します。工程は大きく分け、削りの見当(あたり)をつける作業、ダイヤモンドホイール(砥石)による削りの作業、木盤等と研磨粉による磨きの作業、検品の作業の4工程になります。更に削りの工程は、粗目、中目、細目の3段階に、磨きの作業は木盤、フェルトホイールと2段階に分かれます。

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<研磨について>

現代の機械や研磨剤、技術を用いることで、カットとカットの間(エッジ)がシャープで、研磨面も高品質な仕上がりになり、古代のものよりも強く輝きます。当時、最高(最先端)の技術を用い、芸術性の高い器として作られた円形切子碗。その延長線上にありながら、今の時代だからこそ出来る輝きを意識し制作しています。古代の切子碗に現代の私たちが魅了されるように、1000年経っても、その輝きに人々が魅了されるものを目指しました。

 

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<ガラス素地について>

成分は吹きガラス工芸で一般的に用いられるソーダ石灰ガラスです。 文献によると古代においては、塩湖などで取れる炭酸ナトリウムを用いたソーダ石灰ガラスや、植物灰を用いて酸化マグネシウムや酸化カリウムを含むアルカリ石灰ガラスと呼ばれるものが使われていたようです。古代からの器の面影を感じてもらいたいと思い、鉛クリスタルは用いず、ソーダ石灰ガラスを用いています。また使用したガラスにはカリウムなどが添加され、透明性や輝きが増し、ソーダ石灰ガラスとアルカリ石灰ガラスの両方の長所を併せ持っていると言えます。(カリウムが入ることにより化学的な安定性、透明性、屈折率が上がる) 素地は岩国市にある吹きガラス工房で丁寧に一点一点宙吹き技法により制作されています。一般的な切子では敬遠されがちな気泡や脈理(ガラスの中に見られる筋のようなもの)を、作品のデザインや丈夫さに支障がない範囲で敢えて残す事で、古代の器の面影を表現したいと考えました。 ​ガラス素地制作:ガラス工房マル(岩国市)


 

制作過程

削り(細目)の工程を終えたところ。ここまでで4〜5日を要します。これから磨きの工程に入ります。
 


 

制作過程

グラインダーの先に、ダイヤモンドホイールや木盤、フェルトホイールを付けて回転させ、ガラス素地を当てて削り、磨きます。カットのシャープな輝きを出すため、カットとカットの境の頂点にホイールが当たらないよう細心の注意を払いながら当てていきます。研磨工程は数ミクロンのレベルで研磨傷を消していく作業が何時間と続き、根気と集中力を必要とします。
 


 

制作過程

マーキング:磨き残しや、前の番手の傷がないかをチェックし、マーキングし、再度磨いていきます。これを幾度も繰り返し、マーキングするところが完全になくなった段階で初めて次の研磨段階に進みます。
 


 

制作過程

磨きの1段階目(木盤と研磨粉をガラスに擦り合わせ磨く)を終えたところ。ここから磨きの工程を、もう一つ入れさらにツヤをあげます。